中国名山・龍虎山 本文へジャンプ


道教聖地・龍虎山


龍虎山は南昌から140キロ、江西省東部、鷹潭市にある国家重点風景名勝区。
福建省境に近く、烏龍茶で有名な武夷山に隣接しており、中国道教発祥の地とされている。
壮大な道教寺院群が並び、古くから「道教祖庭」「洞天福地」の美称で讃えられてきた。前漢の中頃、道教第一代天師張道陵がこの山中で修行を積み練丹を行っていたところ、突然、龍と虎が現れた。そこで龍虎山と名付け、道教を開いたと伝えられる。水滸伝の第一回、張天師が井戸に閉じこめた妖魔を洪大尉が誤って逃がしてしまう舞台もここ。



澄み切った廬渓河の流れに沿った両岸の山々は、一方の龍山はうねうねと続き、一方の虎山は激しく隆起して飛びかかる虎のようである。桂林を思わせる丹霞地形の岩山がそびえ立ち、99峰、24岩、108景点が織りなす美しい風景は訪れる人々を魅了してやまない。観光筏に乗って廬渓河を川下りしながら、また、切り立った岩山の頂に建つ仙人城の境内から山々を見下ろして、と景色の楽しみ方はさまざまである。



龍虎山の名所のひとつが、古代の懸墓遺跡群。約2600年前の中国戦国時代、この地方にいた越族系民族のものといわれる。断崖絶壁の岩肌に無数に空いた空洞には木製の棺桶が納められ、専門家からは天然考古学博物館と呼ばれている。
2000年の歴史を持つ道教文化、奇峰群と清流が織りなす自然の風景、興味深い古代遺跡は、龍虎山の「三絶」として観光客を惹きつけている。



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龍虎山観光


仙水岩


仙岩と水岩から成る景勝地。龍虎山山麓から廬渓河を観光筏で川下りしていくと、丹霞地形の岩峰群が見えてくる。龍虎山で最も有名な、24座の山峰を連ねた仙水岩である。碧色に澄んだ廬渓河と、両岸にそびえ立つ奇峰怪峰、河畔に広がる竹林の緑は「小桂林、小離江」とも称される。

仙水岩の見所の中でも突筆すべきは、断崖絶壁の岩陰に納められた無数の懸墓遺跡である。約2600年前、このあたりに住んだ古越族が残したもので、中国南部一帯から太平洋にかけて共通の墓葬文化が見られる。現在、発掘された棺は39、完全な形で残された人骨16体、古代越文化の青銅器や石器、土器など200件以上があり、その一部は乗船場近くの博物館に展示されている。





水岩:最も美しい景勝地。碧水に山が映り、川下りをしながら風景を楽しむ。十大美景は観光筏の船頭が巧みな竿裁きをしながら説明してくれる。「尼姑背和尚走不得」「仙女配不得」「蓮花載不得」「仙桃吃不得」「丹勺用不得」「道堂坐不得」「雲錦披不得」「石鼓敲不得」「仙枕フ不得」「玉梳梳不得」である。

仙岩:唐詩に「楼台彩翠遠分明、聞説仙家在此城。欲上仙城無路上、水辺花里有人声」とあるのが仙岩。別名仙人城。天を突いてそびえる岩山の上には仏教寺院、尼寺がある。720段の急な階段を上り山頂に立てば、奇峰群を縫って流れる廬渓河と、山麓に広がる農村風景を一望できる。


天師府


上清鎮にある。道教の歴代張天師が住んだ場所。はじめは龍虎山中にあり、後に現在の場所に移った。張天師は前漢時代の張道陵から63代、清朝に到る中国歴代王朝の庇護を受けて一姓相伝された唯一の道教宗家である。儒教の開祖、孔子の子孫と同様に、道教の張家も爵位を授けられ、尊敬を集めてきた。民間には「北有孔夫子、南有張天師」の言葉もある。



天師府は3万平方メートルの面積を誇る。壮麗さを伝えられる道教建築群は、清朝中期に兵火で焼失したものの、現在も古建築は6000平方メートルが残る。歴代皇帝が信仰しただけあって、天師府は中国伝統の役所の様式を備えている。院内の建築はそれぞれ王朝の政府機構に擬して造られ、道教正統派としての風格が感じられる。大門、二門、三門と続く奥には、私第、万法宗堂があり、朱柱と碧瓦の中国建築が鮮やかである。

天師府には、かつて張天師とその家族が祭祀を執り行いながら暮らし、三清、四聖、南北斗、二十八宿、三十六神将を祀った。金扁、銅鏡、銅鐘、天師の玉印などが残されている。毎年10月には道教文化節が開かれ、伝統的な廟会や道教法会儀式の再現に、中国全土はもとより、海外からも多くの信徒が集まってくる。


上清宮


上清鎮にある。道教の開祖、太上老君を祀る宮で、歴代張天師が祭祀を執り行った。「神仙都会」「百神受職之場」の美称がある。
かつて、張道陵が練丹を行って道教を創始した「天師草堂」をもとに、各王朝の信仰を受けて規模が拡大し、解放前は広大な敷地に、24殿36院の壮麗な道教建築が建っていたという。それは、上から見ると巨大な「八卦」の形を成していた。



現在の上清宮は大部分が破壊され、当時の面影は残っていない。しかし、明朝建築の東隠院には、正庁、後庁、左右房という建築構成がそのまま残り、壁に描かれた善悪分界や、神樹将軍など道教宮観建築の風格を見ることができる。境内の「鎮妖井」は、小さいが「水滸伝」の物語の発端となる、妖魔が閉じこめられていた井戸である。

上清古鎮


上清古鎮は鷹潭市区から25キロ、龍虎山風景区にある。上清宮が開かれて以来、門前町として2000年を越える歴史があり、風格のある民家が多い。街は1本の通りを挟んで約2キロにわたって延びている。主な見所は、長慶坊、留候家廟、留候旧居、天源徳薬桟、天主教堂など。廬渓河に臨み、川面に突きだして民家が建ち並ぶ街並みと、船着き場は典型的な江南水郷の景色といえる。

上清宮、東岳宮、天師府などの道教寺院が残るが、解放前には十大道宮、81座道院、50座道観がひしめき、中国全土から龍虎山の霊験を求めて集まってくる人々で大いに繁栄したという。

圭峰


龍虎山から東に70キロ、鷹潭市区から50キロ、弋陽県にある景勝地。
山水画に描かれる中国独特の岩山、丹霞地形の標本のような奇峰が連なっている。豊富な雨によって浸食された形が巨大な亀に似ていることから「亀峰」とも書かれる。その他、一線天、老人峰、観音峰、天狗峰、獅子峰などの名前がつけられたさまざまな自然の造形「三十六峰十八景」を目にすることができる。
古来、多くの文人たちが奇岩怪石の面白さを表現してきたが、現代人は「天然ディズニーランド」と呼ぶ。

圭峰は仏教寺院としても有名な場所。景観に魅せられた多くの僧侶が寺院を構え、岩窟に仏像を彫刻した。主なものは双岩寺、瑞相寺など。唐の時代、高さ30m、幅10m、奥行き30mの岩窟に100体以上もの仏像が彫刻され、「南岩仏窟」として今に残されている。湿潤な中国南部には珍しい石窟寺院で、「江南の敦煌」として知られている。

また、圭峰は中国の映画、テレビドラマにも多く登場する。西遊記の撮影はこの地で行われた。


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